営業、それは「空気を読む力」を問われるということに気づかなかった失敗談

世の中には、「空気を読む力」というのが存在しています。ニュアンスで相手の真意を汲み取り、双方の認識を合わせる事を指す言葉ですが、それがこれ程難しいと感じたのは、私が営業という仕事に就いてからの事でした。
昔から私はやや調子の良い所があり、相手に「否」を突きつけることを苦手としていました。そうは思っていない事に同意を求められた時は「そうかもしれないですね」みたいな言い方で濁してその場を切り抜けるということをしており、ことさら大切な局面でもない時はそう濁して曖昧にしておくことが正面切って衝突する事よりも大人のやる事なのだと勘違いしていた部分があります。

ある時、営業で伺った取引先で雑談の延長線上の会話の中「お宅の商品がもう少し○○だったら▲▲出来たのにね。あなたもそう思いませんか? 」と言うような事を言われ、私は「そんな事は無理に決まっている」と思いながら、「そうかもしれませんね。出来るといいですよね」と答えました。私は雑談上の事で到底実現し得るものではないと言う認識で答えていましたが、後日その取引先とちょっとしたトラブルになってしまいました。先方は「私がやる」と言ったと言うのです。

確かにあの時「出来るといい」とは言いましたが、それを先方は私が「善処した行動を起こしてくれる」と解釈したのです。私は思ってもみない展開になってしまった事にびっくりしてしまいました。勿論そんな話は到底無理な話であり、先輩社員に助けて頂きながらどうにか丸く収める事が出来ましたが、営業として出入りしている得意先との雑談は、例えそれが雑談と言う域を脱していなかったとしても出来ない事は先方にはしっかり出来ないと伝えておかないと誤解をさせる危険性を孕むと先輩社員が教えてくれました。身を持って体験した私は十分にその怖さを感じましたが、和気あいあいとした雑談ではっきり「否」を突きつけるのは私にとってとても難しく、しばらく営業の難しさの壁にぶち当たりました。それ以来、営業と言う仕事は「人」を相手にする仕事なのでその辺をしっかり認識して業務に当たるよう気をつけています。