20年ほど前に現在の医薬品会社へ就職し営業部門に配属された。最初は右も左も分からずに右往左往していた。基本的に飛び込み営業はなくルート営業になるのですが商品自体もまだ覚えたてで先輩に同行しながら自分でもこの仕事が務まるのかとても不安だった。そしていよいよ独り立ちする日が来た。今まで経験したことない緊張が体を駆け巡りましたが勢いで最初の店に飛び込んだ。そこは小さな個人経営の薬局だったが話そうと思っていた事が全く言葉に出てこず注文だけを聞いて終わってしまった記憶がある。
元々会話が得意な方ではなかったので先行きが本当に不安だった。そんな状態で地元を中心に営業活動をしていたわけだが薬局というものは基本的に薬剤師の資格を持つ方が営むことができる職業で昔ながらの薬剤師の方は全てがそうではないとはいえ中々難しい方が多い印象を受けた。この業界だからというわけではないにしろ苦手な人はいるもので何十分も待たされた挙句、何しに来た?っていう態度であしらわれることもあったりで精神的に参ってしまった時期もあった。でも丁寧に話を聞いてくださる人もいてそういうお客様に救われながら続けられたんだと思う。少しづつ慣れてきてようやくエンジンがかかり始めたときに上司から出張を言い渡された。
ある日出社したら机の上に地図が置いてあって所々付箋が貼ってある。私は営業職を志望して入ってきたが実は極度の方向音痴でこれには本当にまいった。車ならなんとか同行しながら道を叩き込んできたがいきなり関東へ電車で出張、そして現地で車を借りて回ると高難易度の試練がいきなり与えられて流石にもう帰ってこれないって大袈裟だが感じたりもした。今みたいにスマートフォンがあれば便利だがそれもなく地図を片手に必死にやった。がむしゃらにやればなんとかなるもので東京に着いたときは人の多さに圧倒されたがこなす事ができた自分に自信が持てた。こういう経験は営業じゃなければ得る事ができないので今思えば経験できて本当に良かったと思う。今ではもう営業職を離れていいるがあの時の経験は今でも役に立っていると思うしまたやってみたいと感じる時もある。