保険会社の営業の失敗と遣り甲斐

某国内の保険会社に勤務した頃の話です。営業職は初めてということもあって、入念な研修や訪問前のロールプレイングなどもしっかりフォローしてくれる会社だったので安心していました。二か月間の研修を経て、自分が担当するエリアが決まりました。初めての仕事が、男性の名前と住所が書かれた書類を一枚渡されて「ここにハンコもらってくればいいから」というお使いのような仕事だったので、気楽に訪問しました。しかし、アポイントを取っていない私は門前払いされてしまい、再度アポイントを取って訪問すると、何を勘違いされたのか「それは、私ではない」と言われ待たせてもらうことに。待たされること二時間。もう退勤時間も過ぎています。そこにやってきたのは、中年の女性です。私はその人の名前も家族構成も知らないので困惑していると「何の用で待ってたの?」と聞かれたので「この書類にハンコを下さい」と言うと質問攻めにあいました。

「この後の保証はどうなるの?」「けがした時は?」などなど。私は、何のことを言われているのかも分からず謝罪すると「新人であろうが、会社の看板背負って来てるんだからそのくらい説明できるようにして出直して来なさい」と帰されたのです。
車に戻り、上司に報告するとそういうパターンはレアだったそうですが私は泣いて家に帰りました。
その書類は、保険契約の更新の書類でした。しかも古い保険商品だった為、私が知らないのも当然だったのですが、なかなか難しい内容だったので丸一日かけて勉強しました。

再度アポイントを取って、訪問し説明をしたらアッサリとハンコをもらえて拍子抜けをしましたが、その件以降は念入りに古い商品も勉強し、他社の保険商品も勉強し、損害保険の勉強もして資格も取得できたので、様々な保険を扱えるようになりました。その甲斐あって、家族がバラバラの保険会社に加入していたお客様が私に「家族分全員任せる」と言ってくれたり遣り甲斐を感じる仕事でした。しかし、ノルマがきつく感じるようになり体調に支障をきたして退社しました。
しかし、退社した今でも家族や友人から保険の相談を受けることがあり出来る限りのアドバイスはできるので経験に感謝しています。